髪のDNA鑑定は、ニュースや小説、映画などのシーンでもたびたび見聞きすることが多いので、どのような仕組みになっているのか興味を惹かれることもあるのではないでしょうか?
ひとえに髪と言っても、毛根から毛先にかけての髪は質感・構成が変わってきているため、髪のどの部分でDNA鑑定が可能なのかもギモンに思うことでしょう。
ここでは髪のDNA鑑定について、そもそもDNA鑑定ができるのかどうかや、髪とDNA関係の密接なかかわりをわかりやすく解説してみたいと思います。
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目次
髪のDNA鑑定に密接な結びつきが?髪の構造について
髪のDNA鑑定に密接な結びつきがある髪の構造は、どのような状態になっているのでしょうか?
ここでは髪の構造と、毛幹部のDNA鑑定の詳細について解説してみたいと思います。
髪の構造とは?
髪は毛細血管の上に向かって、
- 毛母基
- 毛乳頭
- 毛根
- 毛幹
という構成になり、毛母基と毛乳頭をワンセットで毛球になります。
髪を強く引き抜いたときに白い毛球が一緒に付着してくるのですが、この部位は親子鑑定などの血縁鑑定に対応するSTR法は強く引き抜くことで白い毛球に付託した、毛乳頭の中に存在するDNAを抽出して検査されます。
毛幹部のDNA鑑定について
髪の毛は皮膚の内部にある根毛と、皮膚の外に存在している毛幹に分けられています。
毛髪毛幹部から個人識別がカンタンにできると、事件捜査や医療の現場でのDNA採取に大きな利益があります。
毛髪毛幹部は中心部にある髄質に微量のDNAが含有され、核DNAが検査できるケースもあります。
ただ髄質は個人によって存在する量が変化するため、たっぷりと持っている人もいれば、まったく髄質を持っていない人もあり、この個人差がDNA鑑定の結果や成功率に大きく作用しています。
髪のDNA鑑定とはどのようなもの?DNAと鑑定の結びつきを紐解きます
見聞きすることが多い髪のDNA鑑定でも、これにはいくつもの専門的な用語・知識があるため、謎だと思う部分も多くあるのではないでしょうか?
ここでは髪のDNA鑑定とはどのようなものなのか、DNAと鑑定の結びつきについて紐解いてみたいと思います。
DNAとはそもそも?
髪だけではなくDNAという言葉自体も見聞きすることが多いですよね。
DNAとはそもそも、
- ヒトのカラダを構成する細胞の核の中にあるもの
- その細胞の23対の染色体の中に存在しているもの
のことを指し、DNAの中には32億も結合されている塩基対があり、ここにはとてつもなくたくさんの遺伝子情報が詰まっています。
DNAにつまった遺伝子の情報は、それぞれ個人によって違いがあり、この違いが誰が誰であるかを特定できる重大な要素になり、DNA鑑定が必要な医療や事件の現場では必ずと言っていいほど実施される鑑定のひとつとなっています。
髪の毛とDNA鑑定の結びつきとは?
髪のDNA鑑定は見聞きすることが多い言葉ですが、実際のDNA鑑定では毛髪の中心部分に存在している毛髄質と呼ばれる部分に、ごくわずかのDNAが含まれているため、髪の毛があればそれだけでDNA鑑定を行うことは難しいと考えられいます。
DNAが存在しているといわれる髪の毛の中心部分の毛髄でも、それぞれの個性によって個人に存在している量は異なっています。
そのため、たくさんの毛髄があれば誰が誰であるかの個人の識別・特定がしやすく、逆にこれが少ない場合はDNA鑑定が困難になります。
抜け落ちた髪や、途中で切れた髪はDNA鑑定ができない
髪の毛は、皮膚の内部にある部分と、外にある部分で構成され、作られています。
髪のDNA鑑定は、この髪の中から毛を抜いた際、生きた毛根のついた髪の毛であればDNAの採取が可能になると考えられています。
ただ普通に抜け落ちてしまった髪や、途中で切れてしまった髪の場合は、DNA採取の要となる毛根が死滅した状態となるのでDNA鑑定が難しく、そもそもの鑑定もできないことが通常です。
髪の毛のDNA鑑定について|毛根がなくても鑑定可能なケースとは?
前項にて、髪の毛のDNA鑑定は毛根があってこそ鑑定が可能であることをお伝えしました。
ですがDNA鑑定は、髪の毛の毛根以外でもDNAを採取できる方法があるんです。
ここでは髪の毛の毛根がない場合でもDNA鑑定が可能になる、「mtDNA(ミトコンドリアDNA)」を使用したケースについて解説してみたいと思います。
毛根がない髪の毛でもDNA鑑定が可能に|mtDNA(ミトコンドリアDNA)とは?
毛根がない髪の毛でもDNA鑑定が可能になるmtDNA(ミトコンドリアDNA)は、
- 両親のそれぞれの遺伝情報を受け継ぐ核DNAとはまた違っている
- 母系からの遺伝という特徴があり、母系鑑定に使用が可能
であるため、犯罪や浮気調査、医療現場においても、mtDNA(ミトコンドリアDNA)はDNAの採取が可能になっています。
DNA鑑定で確実な結果を出せる方法|口腔上皮について
さまざまな理由で確実なDNAを採取したい場合は、髪の毛では鑑定が難しいケースもあることを考慮し、口腔上皮の鑑定方法を検討しておくことが良いでしょう。
DNA鑑定において、一番確実な結果を出せる口腔上皮は、ほほの内側を綿棒でこするだけのカンタンな方法となり、鑑定成功率はほぼ100%になると言われています。
後ほどにも詳しくお伝えするのですが、髪の毛のDNA鑑定は、
- それなりに長い期間
- 高額な費用
がかかるケースがほとんどのため、手軽で確実なDNA型結果を出すためには、口腔上皮の鑑定が良いと言えるのです。
髪の毛のDNA鑑定はどのように行う?鑑定の費用を合わせて解説します
髪の毛のDNA鑑定はどのような流れ・手順で行われているのでしょうか?
ミステリ小説やサスペンス映画などでたびたびDNA鑑定のシーンがあるため、その流れに興味を持つ人も多いことでしょう。
ここでは髪の毛のDNA鑑定について、主な手順や流れ、気になる鑑定の費用についてお伝えしてみたいと思います。
髪の毛のDNA鑑定を行う際の流れ、手順について
髪の毛は皮膚の中に存在している根毛と、皮膚の内部にある毛幹に分けられていることをお伝えしました。
毛根は皮膚の表皮細胞が筒のような形状になって落ち窪んだ毛包という白色の鞘にホールドされた状態です。
髪の毛を強く引き抜くと、根毛には毛鞘細胞と真皮性の毛包の結合繊維組織が付着してきます。
さらに毛球の底の部分には乳頭状にへこんだ真皮から血液が入り込んでいます。この乳頭部は、DNA採取に密接なかかわりがあるタンパク質がそんざいしているため、核細胞の採取が可能になるのです。
そして、毛乳頭から採取された細胞は、DNAを抽出し、個人の識別や確認、親子鑑定の結果に結びついていきます。
髪の毛のDNA鑑定の費用はどのくらいかかるのか?
髪の毛のDNA鑑定の費用は、36,000円~63,000円程度の費用がかかると言われています。
また髪の毛のDNA鑑定にかかる期間は、
- 1名当たりの毛髪からのDNA抽出及びDNA型判定の場合:およそ3週間
- 1名当たりの毛髪DNA型と対象人物DNA型の異同識別や照合解析の場合:およそ2週間
となり、期間も費用もそれなりにかかることがわかります。
ただ髪の毛を使わないDNA鑑定の場合は、DNA鑑定会社が作っている検査用キットを使うと、36,000円でDNAを鑑定することができます。
髪の毛を使わないDNA鑑定会社が作っている検査用キットを使うと、45,000円程度の費用がかかり、この方法では歯ブラシやタバコ、ガムなどでも検査が可能になっています。
~おわりに~
髪の毛のDNA鑑定は見聞きすることが多いもののまだまだ未知な部分が多かったため、今回お伝えした詳細は学びになるところがいくつもあったのではないでしょうか?
DNA鑑定にはさまざまな種類があり、その中でも髪の毛のDNA鑑定は特に高額でそれなりの費用がかかるケースもあります。
DNA採取のために必要な髪の毛の状態をしっかりと理解し、準備をした上で、実績や信用度の高いところに依頼することが得策でしょう。
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